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映画「犬と猫と人間と」

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ひばり♀ この春で4歳になる 里親募集中



 母親のちゅらがそうだったように、娘のひばりも実は来客が好きだ。どうしても、好奇心に勝てないというか。

 これは、ルネ吉の里親さんが訪問し、遊んでくれた写真。興味津々にお客に近寄っていったのは、保護猫ではひばりだけだった(ルネ吉以外では)。ぜんちゃんは、ヒーターであったまるのに夢中で、隠れることはしなかったけど。

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遊ぶ



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食べる



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 三連休最終日。映画「犬と猫と人間と」を見に行った。以下はネタバレになるので、初めてMore機能を使用。見てもいいよという方だけ、クリックしてください。




 一人の老婦人の「願い」から生まれた映画。

 長年、行き場のない猫の面倒を見てきた稲葉恵子さん。どうやっても、捨て猫野良猫は減らない。いっそ、「そういう映画をつくったら」手っ取り早いかもしれない。お金なら、来年保険が満期になる…。

 そうして白羽の矢が当たったのが、映画監督の飯田基晴さん。なぜぼくが? と戸惑う飯田監督に、稲葉さんは「誰でもいいってわけじゃないのよ、私だって。でも、勘がいいのよ、私」

 私が生きてるうちに、映画を完成させてねと、稲葉さんはお願いする。

 何をどう撮ればいいのか。とりあえずカメラを回してみようか。自分の思うままに。ドキュメンタリーの形式をとったこの映画は、飯田監督自身のとつとつとしたナレーションと狙いのない自然体の、流れるままに撮影した素朴というか演技を登場人物の誰も感じさせない-そんな映画だった。それだけに、見る者に、考えさせる余白を持たせる効果があった。

 どうしたら、命を処分される犬や猫をなくすことができるのか。胸がかきむしられるような光景も、淡々と、ただそうした事実があるのだということを、フィルムに刻んだ作品。

 詰まるところ、無責任な飼い主がいるからだ。不妊去勢をしない、飼い主。

 けれど、そうした飼い主たちは、おそらくこういう映画は見ないのではないか。どうしたら、彼らに伝えることができるのか。

 現場にかかわる人たちがときに浮かべる、静かな怒りが画面を通して伝わってくる。

 生まれることなく生を終えてしまった、まだ子宮の中にいる子猫たちを処分しなくてはいけない獣医師。

 きつい言葉でいえば、我々は無責任極まりない飼い主の尻拭いをさせられているのだという行政(保健所、動物愛護センター)に携わる獣医師。それでも、自分は動物が好きだ。好きな人間が、犬猫の最期にかかわる。これは、動物が嫌いな人間がするより、絶対違うはずだ。自分にできることといったら、少しでも殺処分数を減らすこと。

 処分が済んだセンターに、生まれて間もない複数の子猫が持ち込まれる。次の処分のときを待たず、獣医師は子猫たちに麻酔を注射し、終わらせる…。動物が好きなのに、こんなことをさせられる不条理。


 もう何年も、河川敷に捨てられ野良となった猫たちを世話する女性が言う。

 捨てるのも人間なら、捨てられた猫たちをなんとかしようとするのも人間。そういう人間がいないとね。捨てられっぱなしじゃ、やられっぱなしじゃ、あまりに猫たちがかわいそう。
 数えきれない猫を不妊手術させてきたこの女性が、(不妊手術は)人間の勝手ですよねと、瞬間、思い悩む表情を見せる。身勝手なのは、ペットに不妊手術をしない飼い主なのに。


 なんのために。なぜ。

 啓蒙ももちろん必要だろうけど、映画に出てくる人々のほとんどが、今目の前にいる行き場のない犬や猫をなんとかしようと、自分にできることで奮闘する。


 ある動物愛護団体で保護されている、しろえもんという犬。問題行動があり、一度縁組成立したものの、戻されてしまった犬。

 彼のしつけに、3人のトレーナーがかかわった。1人目は、言うことをきかないとき、首が締め付けられるチェーンでしろえもんをしつけようとした。
 2人目は恐怖で支配するのではなく、言うことを聞いたらとにかくほめる。それを実践した。3人目もそれを引き継いだ。

 保護当時、まだ若いからもらわれる可能性はあるはずと期待されたしろえもんも、すっかり成犬になってしまった。保護団体が彼にとっては「家」かもしれない。けれど、かかわるスタッフたちは決してあきらめないだろう。しろえもんが、本当のおうちにもらわれていくことを。


 映画の終わりに、飯田監督は岩手県一関市郊外を訪れる。そこは、樹木葬を選んだ稲田恵子さんが安らかに眠る場所。


 どんな命も、捨てていい命などあるはずがない。

 強欲で、見栄っぱりで、嘘つきなのが人間なら、真反対のことができるのも人間。

 犬や猫たちのことで、私たちにできることはたくさんある。

 
by amemiyataki | 2010-03-23 01:10 | 日常
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