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小さくても、花を咲かせて。

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乙女椿(福島県浪江町にて)




熊本は天草出身の作家・石牟礼道子さんの記事(朝日新聞2015.9.26付)を読んだ。



福島の原発事故直後のニュースを見て、「水俣と同じことが起こるだろう」と感じたという。

原因の企業が、地元に雇用を生む存在でもあることから、地域社会が分断され、被害が回復されないまま忘れらていく。

「福島と水俣で起きたことの背景にあるのは、現代はお金が一番の生きがいであり、倫理だということです。

本当はそうではなくて、小さくても花をさせて、その香りを次の世代に残すのが人間ではないでしょうか。

そうしてつないでいく魂があるはずです」



福島の原発事故の後、石牟礼さんが詠んだ俳句。


毒死列島身悶えしつつ野辺の花



水俣で育った石牟礼さんのそばには、いつも不知火海があった。



さくらさくらわが不知火はひかり凪


穏やかな内海は陽光を照り返し、「まるで一枚の光の布のように見えることがある」という。

そんな海の様子を、地元の漁師たちが「きのうは、ひかり凪じゃった」と話していたのを思い出して詠んだ句だ。

有機水銀で汚染されたのは、その美しい海だった。




私たちは、次の世代へ何を残していくのだろう。
by amemiyataki | 2015-09-26 15:14 | 日常
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