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お世話する

 気分屋の猿と猫達のブログオーナーが、念願のキャットシッターを開業しました。ぜひご贔屓に。岩手県盛岡市の猫専門ペットシッター【キャットシッターまめねこ】をどうぞご覧ください。

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ナイト(03年初夏 プチポン部屋にて撮影)


 4月5日、ナイト永眠の知らせが届く。
 都会から、田舎暮らしを夢見て岩手県雫石町の開拓地に入植した一家が酪農を始めた。たしか、当初は4匹の猫と2匹の犬がいたと聞いている。7年後、不妊手術をしないまま放し飼いにしていた猫たちは優に100匹を越えていた。経営にも行き詰まった一家は猫たちを置き去りにして夜逃げ。後に残された猫たちは、牛の飼料を食べ生き延びていたが、それもすぐに底をつき…。
 地元の動物保護団体が猫たちの保護に動き、そこにいた約80匹を保護。行方不明になったものもいた。ひどい話も聞いた。一報が届いたのは2002年4月、ちょうどプチポンでは「動物たちのレクイエム展」を開催していたときだった。現場は言葉に尽くせない、あってはいけない惨状だった。あれほどのうごめく猫を見たのは初めてで、それが異常に映り、怖かった。
 なかば強引にボランティア参加させてもらい、ささやかながらもかかわらせてもらった「置き去り猫」たち。ナイトはそうした猫たちの中の一匹だ。
 03年4月、ナイトをプチポンで預かり、里親募集を始めた。置き去り猫からはほかに「さくら」「オットー」を預かった。
 04年3月末日、ナイトはさくらとともに、里親のSさんへともらわれていった。それまで、「プチポンで保護した猫は一年以内に必ずもらわれる!」と意気込み、実際、そのとおりになっていた、最初の年、03年。ナイトは難しいだろうなあ…など思っていたが、ナイトもまた、保護歴一年未満でもらわれた(けれど、思えばこのジンクスはナイトで最後だった。その後、こぶちゃん、ピアはじめ、保護歴一年以上の猫たちが続く…)。

 慢性鼻気管炎、脱毛、泌尿器系トラブル…鼻をフガフガさせながらも、ナイトはご機嫌な猫だった。こちらがそう思っているだけかもしれないけれど。いい猫だった。
 Sさんへもらわれて4年、そのナイトがとうとう力尽きた。
 酪農一家が連れて来た、最初の4匹のうちの一匹がナイトだったとして。齢13年以上?保護団体が保護するまでの暮らしはどんなものだったろう。名前で呼ばれたことはあったのか。
 もはや知る術もないが、間違いなく、Sさん宅で過ごした4年間はナイトの生涯の中で一番、輝いた日々だったに違いない。

 「ナイトは存在感のある、賢い猫でした」とSさんのメールにあった。腎臓が悪かったから仕方ないと言いつつも、落胆のほどはうかがえる。

 里子に出して一週間で亡くなってしまったのりちゃんのときもそうだったが、もしかして里親さんには悲しみだけを運んでしまったのではないか。大変な思いを味わわせて本当に申し訳ない。そう思いつつも、やはりもらわれていった猫たちは幸せだったと、感謝せずにはいられない。保護状態は、なんとも中途半端で、やはりできれば飼い主という人間と向き合い、コミュニケーションをとることを学び、かわいがられる、大切にされる、愛される喜びを味わってほしいから。

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 私たちのたましいは、生まれたり死んだりを繰り返しながら、限りない進化の道をたどっています。
 この世に生まれてさまざまな経験を積み、そのなかで感動し、学ぶ。寿命が来れば、たましいは肉体を捨てて、ふるさとであるあの世へ帰る。
 そして今度の人生で学べたこと、学び足りなかったことを反省し、次の課題を決めて、再びこの世に生まれてくる。

 ある本で見つけた一節。学びのひとつに「愛」があるという。愛を知り、愛に満ちた存在になることで、私たちのたましいはより透明に浄化されていく。
 たとえば、母親がお腹を貸して一つの魂をこの世に誕生させ、愛されるという経験を学ばせるように。動物と暮らすのも同じことではないか。動物が愛を学び、進化していくのを助ける。
 その本の著者に言わせると、植物にも動物にも鉱物にも魂は宿っており、それぞれが人間の魂に向かって進化していくという。魂の進化はつまり、動物もいずれ人間になるってこと…? そういうことはちょっとわからないし、究極の進化が人間というのはどうかなあと思うけれど。
 「人間にかかわり、愛されることを知った動物は人間に近い魂」というのは、なんとなくわかる。
 ペットをかわいがり、育てる行為は「たましいのボランティア」とも言っていたけれど。

 こちらと接し、コミュニケーションがとれるようになり、感情を見せてくれるようになった、元野良の猫たち。ボランティアとか、自分の徳を積むためとか、そんなたいそうなことはまったく考えていない。ただ、外にいる苛酷な状況を受け入れ、それでもひたむきに生きる姿を見て、なんとかしたいと思うから。
 理由はたいして問題ではなく。ただ自分がそうしたいから。強いていうなら、お世話をさせてもらうことで、自分もまた、いろいろなことを学ぶというか。

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 河原猫の世界で、あってはならないことが起きてしまった。ひとつの命が悲惨なかたちで奪われた。複雑骨折し、心と体に傷を負った猫もいる。

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 こちらでは現在、緊急の里親募集をしています。どうぞよろしくお願いします。

 外にいる猫たちに雨の日も風の日もごはんを届け、これほど長い年月、30匹あまりの猫達の個体管理をしっかり行い、餌やりを続けること。ブログ「河原猫の日記」を読んでいただけたら、オーナーの誠実さ、人柄がわかると思います。心にふれる何かを感じてもらえたらと切に願います。

 友人のブログ(こちら)もご一読を。
by amemiyataki | 2008-04-14 12:26 | 日常
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