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千年の猫

 源氏物語千年紀の今年。朝日新聞連載の「千年の源氏物語」を興味深く読んでいる。言葉では尽くせないシベリア抑留時代を、「宇治十帖」を心の支えに生き抜いた人、網膜はく離の手術を受けながら、文字どおり命を削って訳しぬいた女流作家。
 なかでも目を惹かれたのが、「子猫がたぐる運命の糸」の回。光源氏の正妻、女三宮が、柏木と出会ってしまう小道具に、猫が登場するという。
 柏木ら貴公子たちが蹴鞠をしているのを御簾越しに見ている三宮。そのとき、猫に追いかけられ逃げ込んできた子猫によって御簾が跳ね上げられ、三宮と柏木は出会ってしまう…。

 「唐猫」と描写される猫はどんな猫だったのか。舶来ものの猫は、当時珍重されたであろうこと。実は紫式部は猫は嫌いだったのではないか(猫嫌いとしか思えないような描写の仕方だ云々…)。 後に直木賞作家になった古本屋オーナーが、源氏物語を英語に訳した外国人が、大学で国文学を教える教授らが、源氏物語に登場する猫をめぐって、あれこれと想像をめぐらしていく。

 原書はおろか、現代語訳版も、大和和紀の「あさきゆめみし」すら読了していない私があれこれいうのもなんだけど、千年の時を経て、なお人々を魅了してやまない源氏物語もさることながら、千年の時を経て、なお人々の想像力を駆り立てる猫の存在もまたすごいなあと思った。

 余談だが、プチポン初の三毛の保護猫は「ともえ」。当時、命名にあたっては「三毛」の「三」から、空蝉さんが「三宮はどうか」という話もあった。糞尿まみれの段ボールごと保護された三毛の子猫はほどなくもらわれ、「巴」と名前をつけてもらって、神奈川で元気に過ごしている。

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 猫が出てくる作品といえば、カポーティの小説は読んだことはないけど映画「ティファニーで朝食を」のオレンジ色の猫が好きだ。猫越しのキスシーンは、ハリウッド全盛時代のロマンティックストーリーの代表的シーンだろう。オードリー・ヘプバーンだから、絵になっていたんだと思う。
by amemiyataki | 2008-04-28 23:48 | 日常
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