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子を呼ぶ母猫の声

 「新月に新しいことを始めるといいんですか?」とメールをいただきました。そうらしいです。月の不思議なパワーについては古来よりいろいろいわれているようです。「新月」「新しいこと」「始める」などで適当に検索してみてください。

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 爽やかな秋! とは裏腹に、明けきらない梅雨が気づくと「秋の長雨」にそのまま移行した…というような湿気。猫たちもおとなしい。

 昨夜のことだった。真っ先に姿を現すのがエミリ(不妊手術がうまくいきますように)。次いで、珍しく母猫シャーロットがひとりで姿を現す(エミリはシャーロット親子とは別行動、単独が多い)。「えーっ!? わたしひとりでこれ全部食べていいの?」みたいに、ひと皿に盛った缶詰1缶を食べる。食べる。途中ではたと気づき、後ろを振り向く。子どもたちは来ない。食べる。振り返る。子どもたちは来ない。
 ほとんど食べ終わりながらも子どもたちのぶんにちゃんと残したシャーロットが、声をあげた。華奢な体にしっくりとくる、か細い声。これは…明らかに「ごはんよー、いらっしゃーーーい」だ。
 一匹、ちびヴァンが駆けてくる。ふたたびシャーロットが鳴く。しばらくしてドットちゃんが来る。「食べはぐれるわよーっ」とシャーロットが鳴く。グレコは来ない。
 もはや自分が食べ終わるどころではなく、シャーロットが暗闇に姿を消す。グレコを呼びに行ったのか。
 缶詰を足し、子どもぶんを盛る。もりもりと食べる。食べる。グレコはこない。
 遠くでシャーロットの声が聞こえる。

 グレコはもしかしたらダメかもしれない。不意にそんな思いにとらわれると、たちまちこちらまで闇よりもブラックな気持ちにとらわれる。どこかで行き倒れているのか。

 ちびヴァンが一瞬、母親が消えた方向を見つめ、毛を逆立てる。いやな予感。

 やがてエミリが消え、ちびヴァンもドットちゃんもいなくなった。

 ちびヴァンの後を追う。

 グレコがいた。うずくまっている。こちらが近づくと、ガーッ!といつもの威嚇。

 よかった。

 これは食事をデリバリーしないとだめだなと思いながら、ひき返す。すると。

 グレコが私を抜き、まだ置いてある皿のところへ一目散と駆けて行き、食べる。食べる。

 ひととおり食べた後、自分ひとりしかいないことにはたと気づき、またもといたところへ駆けていく。

 ミルク入り缶詰をデリバリーすると、それを必死に食べる。食べる。

 まずはひと安心。

 子を呼ぶ母猫の声を久々に聞いた。これは特別な声だ。

 昔、こちらに近づくあぶこぶまっちょを、暗闇から呼び止めた満ちるの声を思い出した。あれも特別な声だった。子を呼ぶ母猫の声は音域が違う。たちまちあぶこぶまっちょは暗闇のどこかにいるであろう母猫のもとへ駆けていった。

 ブロンテ一家との付き合いはまだ始まったばかりだ。どこへ向かうのか、どういう結末が用意されているのか。
 淡々と続けるのみ…と思うものの、気持ちはどうも晴れない。この数日の天気のように。
by amemiyataki | 2008-09-03 15:26 | 日常
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